ブログネタ365見本

お題:好きな街

タイトル:不覚にも振り向いた先には懐かしい人と街

こんにちは。
Web集客コンサルタントの億トル子です。

東京に住んでいる。
実家も東京だ。
行こうと思えば歩いてでも行ける距離だが、
近すぎて遠い。
案外、足を運ばないものだ。

「美味しい桃をいただいたから取りに来なさい」
などと言われてようやく重い腰を上げて訪れることにした。

自宅から自転車で向かう。
高層ビルとマンションの林を通り抜けて
大きな橋を一本渡ると、突然そこは異空間。

前にも少し紹介したが、
実家周辺は戦災を免れた地のため、
そこだけ昭和の街並みが残っている。

東京駅までバスで10分もかからない場所なのだが
銭湯が今でも近所に3軒。

子供のころ足しげく通った駄菓子屋に
友達とかくれんぼした神社、威勢のいい魚屋さん、
毎朝お出汁のいい匂いがするお蕎麦屋さん・・・
時がとまっているとしか思えない。

ちょっと寄り道して私を「タコ」呼ばわりしていた
同級生宅を垣間見に行くと、やっぱりここもあの頃と変わりない
看板建築のお宅のまま。

本来の構造は木造なのだが、正面だけを鋼板やモルタルなどの
耐火素材で装飾した店舗兼住宅。

どうやら関東大震災後の復興期に突発的に現れた建築方法らしい。
きっと大正から昭和初期にかけては同じような店舗が
今よりももっと軒をつらねていたに相違ない。

よくよく見ると、似ているようで一軒一軒すこしずつ違う。
脇にクラシカルなタイルが埋め込んであったり、
遠目だと、窓の配置が目と口のように見えたり、
パルテノン神殿の柱を模したような彫刻がされていたり・・・。
アーバンレトロという言葉がぴったりの街並みを呈している。

子供の頃には気づかなかった「古きものの良さ」をじんわり実感。
朽ち果てた看板にさえ愛らしさを感じてしまう。

「あ、ここも『リンビール』になっちゃってるよ」とボソッとつぶやくと
後ろから
「タコーーーーーーーーーっ!」と声が聞こえてきた。
いまではそのあだ名を呼ぶ人はいないのに
つい反射的に振り向いてしまった。

白髪がちらほらの目じりのシワもかなり増えた、
なつかしいクソガキのクシャっとした笑顔がそこにあった。

 

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